ある先行研究では、熱心なファンの25%は有名人の配偶者や恋愛相手になりたいと認めており、さらにそのうちの41%は、自分がその有名人の友人や知人、助言者であるとの自覚を持っていることが示されていました。
また脅迫的なファンレターを調べた研究では、加害者がすでにその有名人と何らかの個人的な関係を持っていると信じている傾向も見つかっています。
しかし、上記の要因については、いまさら言われるまでもないと感じる人も多いでしょう。
今回の結果で、少し奇妙に感じるのは3つ目の「退屈しがちな性格特性」という部分でしょう。
実際、研究主任のマリア・ウォン(Maria Wong)氏も「退屈しがちな特性がストーカー行為と密接に関係しているのは予想していなかった」と話します。
これがどういう風にストーカー行為と繋がっているかは不明です。
しかし、ある程度推測することはできるかもしれません。
一つは特定の趣味を持ちづらいために時間を持て余し気味となり、その時間を有名人の情報収集をに当てやすいこと。
また、強く興味を惹く対象が見つけにくいために、一度ハマるとその対象を特別だと思い込みやすくなり、それが狂信的な好意を加速させる可能性などです。
一方で、相関がありそうだと予想されていた、怒りやすさ・スリルの追求度・人間関係への愛着の高さは、ストーカー行為と相関が見られなかったとされます。
ファンは「エンターテイナーとしての能力」を純粋に愛する
反対に、好きな有名人への憧れがその人のエンターテイナーとしての能力にもとづく場合、ストーカー行為に及ぶ可能性は低くなることが示されました。
たとえば、歌手なら美しい歌声や元気をくれる楽曲に、俳優なら心を揺さぶる演技に感激するなど、有名人を応援する理由が純粋に娯楽性にのみもとづいている場合です。
これらの人々はストーカーではなく、ファンと言えるでしょう。
アンケート調査でもこの傾向が強い人々は、有名人に対し個人的な考えや感情を抱くことは少なかったようです。
