アトレティコ・マドリードでは、ディエゴ・シメオネ監督の三男であるMFジュリアーノ・シメオネが急成長し右サイドハーフのレギュラーポジションを奪取した。その上、前線にはラ・リーガの外国人最多出場記録を持つ元フランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンもいる。グリーズマンには米MLSやサウジ移籍の噂があるが、仮に久保をレギュラーとして獲得するならば、グリーズマン放出は必須である上、シメオネ監督による愛息ジュリアーノの“えこひいき起用”も気になるところだ。
シメオネ監督の戦術は守備の強度とカウンター攻撃を重視するもので、久保のプレッシング能力、ドリブルでの打開力、戦術理解度は適しているようにも思える。さらに久保はソシエダでも守備面で貢献しているため、同監督の好みのタイプである可能性はある。ただし、シメオネ監督はアルゼンチン出身選手やフィジカル自慢の選手を好む傾向があるため、久保のスタイルが受け入れられるかは未知数だ。

その他のスペイン4クラブ
ビジャレアル
久保が2020/21シーズンに期限付き移籍したビジャレアル。当時はウナイ・エメリ監督の戦術に合わず、MFジェレミ・ピノのブレークもありレギュラー確保に失敗した。キャリアで初めて欧州カップ戦(ヨーロッパリーグ/EL)にも出場し移籍後初得点も決めたが、ビジャレアルでの得点はその1ゴールだけで、リーグ戦では無得点に終わった。今年4月20日にソシエダの一員として古巣戦に臨んだ際(2-2)には、敵地エスタディオ・デ・ラ・セラミカの観衆から久保に向けブーイングが飛んだ。
現マルセリーノ・ガルシア・トラル監督の戦術は、【4-4-2】と【4-2-3-1】を併用し、サイド攻撃を重視している。久保のプレースタイルがマッチする可能性はあるが、ピノやコートジボワール代表FWニコラス・ペペ、スペイン代表MFアレックス・バエナとの厳しい競争が待っている。しかし、ELどころか欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権を得られれば、ステップアップには適している。過去のトラウマやサポーターからの反発がなければ、再入団の可能性もあるだろう。