名前の由来は、ドラセナが「雌竜」、ドラコが「竜」、シナバリが「朱色の」という意味を持つ所から来ています。「竜血樹」という和名は、これらの英名がそのまま和訳された、とお分かりいただけるのではないでしょうか?
生息地域では「ドラゴンが死ぬと竜血樹になる」「ドラゴンの血液が流れ出る樹が竜血樹」という言い伝えがあります。
竜血樹とはどんな木なのか?

ドラセナ・ドラコは大西洋のカナリア諸島に、ドラセナ・シナバリはインド洋のソコトラ諸島に生息しています。
地域に合わせ乾燥や暑さに強い性質を持っています。また、成長はとても遅いですが、最終的には最大約20mという高木になることもあります。常に葉が常緑していることも特徴的です。
また、目を引くのは、その形状でしょう。
幹のある高さから一斉に無数の枝を出しており、そこからは剣上の葉が非常に密生し、大きな樹冠を形成しています。なぜこのような奇妙な形なのでしょうか?
通常の草木は、光合成のために枝を大きく広げます。しかし、竜血樹は、光合成よりも「海から吹き付ける霧を結露としてかき集めること」を重視したのです。
傘のような葉で霧の水滴を受け止めて、木の根元に滴らせることで、乾燥地域で生き残ることができたと考えられています。また、自らの影によって水分の蒸発も抑えることができています。
竜血樹から流れる赤い汁の正体とは?

では、竜血樹を切った時に出てくる「赤い汁」の正体は何なのでしょうか?
一見すると血液のようで非常にグロテスクに感じますが、この正体は「樹液」です。
樹液には、主に維管束の中の汁が含まれており、水や栄養などの物質を運搬する役割があります。
また、傷つけられた時に、自身を補修する役割もあります。寒さから身を守るために糖を多く含む樹液の場合には、昆虫類に好んで舐めらることは既知の事実かと思います。