では市場関係者の間で議論されている「アメリカは景気後退局面に入るのか?」ですが、専門家の意見も割れているし、専門家もその判断を変えつつあり、そちらも朝令暮改とまでは言わずもかなり揺れ動いています。個人的には目先、楽観視はしていません。一方、メルセデスなど一部自動車企業などがアメリカでの自動車生産方針を打ち出すなどトランプ氏に服従するところも出てきています。もっともアメリカで自動車をつくれるのかといえばフォードやGMでさえ「純粋培養」のアメリカ産自動車がほとんどできない中で人件費や労働の質を考えると私は懐疑的なのです。「お前、中国製のクルマとアメリカ製のクルマ、二択ならどちらを買う?」と聞かれたらどう答えますか?私は製品の質だけを考えれば中国製を選びます。

日米関税交渉、どう展開するか?

赤沢経済財政再生大臣がワシントンを訪れ2度目の交渉を行いました。石破首相は進展があったと述べていますが、個人的にはむしろ無理に進展させない方が良いかもしれないという印象を持っています。日米交渉は世界の関税交渉の先陣であり、ここで決まることが今後の他国との交渉での落としどころとなります。アメリカが日本を選んだのは組みしやすいことと日米間の貿易が規模や影響力が大きいからにほかなりません。日本政府や一部企業からは一刻も早い結論を求める声もあるようですが、私はむしろアメリカをじらしてしまう方が良いと思っています。

赤沢経済再生担当相Xより

来週火曜日頃にカナダとアメリカのトップ会談がワシントンで行われます。関税の直接的影響という点ではカナダは極めて大きいわけでカーニー首相もそれなりの戦略をもっていくはずです。また米韓の交渉も進みつつあり、欧州や他の国との交渉も一斉に進んできます。当然、各国はアメリカに不満を述べ、ガチンコの交渉になるはずで、簡単に決着がつくことはないとみています。とすれば日本だけ結論を急ぐ必要はなく、他国がガンガン押し込む中でトランプ政権が関税交渉で進展がなく、3か月の時間的枠組で成果が得られない状況になってくれば焦りが出てきて、譲歩が引き出しやすいと思うのです。