「宇宙で一番大きな星」と聞いて、あなたはどのくらいのサイズを思い浮かべますか?
広い宇宙でもっとも大きい星はどんな星なのか? というのはかなりロマンあふれる疑問です。
宇宙には、私たちの想像をはるかに超える、途方もない大きさをもった恒星が存在しています。
ただ、星は無限に大きくなれるわけではありません。
今回は素朴な疑問から、宇宙に形成される星の限界と観測されている想像を絶するほど巨大な恒星について解説していきます。
目次
- 観測上最大の恒星――おおいぬ座VY星
- 宇宙で一番大きい惑星はどのくらいなのか?
- 地球型惑星の最大は?
観測上最大の恒星――おおいぬ座VY星
現在、観測で知られている中で最も巨大な恒星のひとつが、「おおいぬ座VY星(VY Canis Majoris)」です。
この星は、地球から約1,170光年の彼方に位置する赤色極超巨星(red hypergiant)で、その半径はなんと太陽の約1,420倍にも達します。

もしこの星を太陽の位置に置き換えたとしたら、その表面は土星の軌道に達するという。つまり、太陽系のほとんどを飲み込むほどの大きさなのです。
この巨大な星が注目されるようになったのは、比較的古い時代にさかのぼります。
18世紀にはすでに変光星(variable star)として知られていましたが、そのサイズなど具体的なことがわかってきたのは現代に入ってから、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のVLT干渉計(VLTI)を用いた高解像度の観測によって、より詳しいデータが得られるようになってからです。
特に近赤外線の分光干渉計(spectro-interferometry)による最新の研究では、おおいぬ座VY星が水蒸気や一酸化炭素などの分子層(molecular layers)をまとい、しかもそれが非対称に広がっている様子まで明らかになっています。
