たまたまかもしれないが、最近の話題作、特に個人的に気に入った映画やドラマ作品は、この「懐かしい未来」が全てモチーフになっている気がする。まさに時がねじれて、絡まって、時には戻って途切れ、またつながり、、、という具合である。

過去の武士の精神と、時代劇を愛する現代人の想いが懐かしく、また絶妙な新結合として未来に向けて幾層にも重なり合っていく「侍タイムスリッパ―」。人類の草創期からアメリカの建国の歴史すらも意識させる形で、ある住宅における過去から未来までを、一つの家族としても、繋がりゆくアメリカの家族の形としても、未来に向けて描いている「HERE」(新し映像体験の出来る名作でした)、そして極めつけは、バカリズム脚本・監督の諸作品である。

今シーズンのホットスポット、少し前のブラッシュアップライフ、10年ほど前の素敵な選タクシーなど、楽しく拝見してきているが、正直、超長尺のコントをリラックスして楽しみながら見る、というだけのスタンスでいた。

しかし、改めて3作品を「なぜこれほどまでに、安心して楽しめて、笑えて、視聴した後にほのぼのするのか」ということについて考えてみると、全て、「時間」が鍵になっていることに気付くのだ。そう、全て、過去との繋がり、そして未来との希望、何より、その過去と未来との結節点にある現在をどう大事に楽しむのか、ということが大きなテーマになっている。

紙幅の関係もあって、これら三作品について、時のねじれ、絡まり、巻き戻し、繋がりをいちいち説明することはしないが、まさに見ればわかる。現在を大事にするということが、すなわち過去を重んじることにほかならず、そしてそのことが未来の希望に繋がっていく。バカリズムが大事にしている日本人の集合的無意識とは、まさに失われていく過去の大切さであり、仮にそれが失わるといえども愛を持って見送ることである。過去から綿々と紡がれてきた家族の繋がり、友人との絆を愛おしく大切にすることである。