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1. 中国における「懐かしい未来」

約6年ぶりに中国に行ってきた。

我が畏友で霞が関同期の金田修君(大蔵省勤務後にマッキンゼーでパートナーにすぐ上り詰め、その後、現在は中国で起業して大成功とダイナミックな人生を送っている)が中心となって10年ほど続いている日中リーダー会議への参加が目的だ。訪れた先は、人口約1000万人の大都市長沙。人口約6,600万人の湖南省の省都だ。弾丸トラベルで、2泊3日のみであったが、そこには「懐かしい未来」があった。

長沙の特徴をごく簡単に言えば、三国志ファンにはたまらない英雄の孫権や黄忠ゆかりの故地であり、青年時代の毛沢東ゆかりの地であり(青年毛沢東の超巨大な彫像がある。横83メートル、奥行き41メートル、高さ32メートル。)、中国を代表する消費都市であり、若者の町だ。懐かしさと未来が同居している都市である。

何故、今、この内陸の都市が消費・若者の街になっているのか。ごく簡単に略述すれば、私見では、アメリカで言えばシリコンバレーとテキサスの関係、当該関係におけるテキサス側の事情が長沙にはある。要は、経済のメッカが飽和していて、お金はないがやる気や野心のある若手が、上海などと比べて地価などが相対的に安く、しかし歴史的な著名性・安定感のある同地(テキサスにもそういうところがある)に流れこんでいる。

まさに眠らない街という感じで、ナイトタイムエコノミーでも有名なのだが、若者が23時過ぎくらいから大量に集まって、夜通し飲んだり踊ったりしている。IFSなどの高層ビルや現代的街並みを背景にしつつ、そこには、古くからの中国を意識した昔からの商店街の入り口の門(太平老街など)があり、裏路地には残されたアジア的混沌があり、中には、古いビルを改装して、わざわざ古い街並みを再現したレストラン街まであるなど、新しくて懐かしい都市がある。