消費の喚起ということについては、政府の政策の影響も無視できない。おりしもトランプ関税でアメリカ向けの輸出の大幅減が見込まれる中、その分を少しでも補おうと中国政府は、内需の盛り上げに力を入れている。そんな中、トランプ政権誕生以前からではあるが、湖南省・長沙市は家賃の低減策に力を入れており、可処分所得が街中への消費に向かうようにその勢いを加速している。古くからの政府の政策が重低音として流れつつ、新たな店が様々に展開している。
新たなコンビニ、中国版の「お菓子のまちおか」のような店の経営者とそれぞれお会いしたが、過去の中国と未来の中国が同居しているような不思議な雰囲気を醸し出していて、過去から繋がる志と将来に向けての溢れんばかりの夢が混在しているような人たちであった。
省政府の消費関係のシンクタンクの代表にもお会いしたが、日本から三浦展氏を招いて講演会をやるなど(余談だが、三浦氏が、中国でカリスマのようになっていることに驚いた)、消費喚起のために様々に力を入れている。上記の「街中への消費」「新しい店」というのは、ここでは当然にネット上の「街中」や「店」も含む。湖南TVや傘下の芒果(マンゴー)TVは、ライブコマースの展開にも力を入れており、その点で中国を代表するメディア帝国を築き上げている。
TikTokなどのショート動画で、「しゃべっている中身はジャパネット通販オジサンそのものの“うら若き女性”」たちが、それも数多のそうしたインフルエンサーたちが、熱心に商品の宣伝をしている。ここにも商店街で口角泡を飛ばして物を売る懐かしさと、ネット上での販売という未来が同居している。
異国の地で様々に「懐かしい未来」に触れることが出来、大いなるエネルギーを得ての帰国となった。
2. ドラマ・映画における「懐かしい未来」
今回の長沙訪問に際しては、行きも帰りも、映画プロデューサー・監督にして作家でもあるマルチタレントな畏友の川村元気さんとご一緒させて頂いた。かつて青山社中フォーラムでも講演して頂いたことがあるが、10年来の知人である。上記の畏友の金田君と元々お繋ぎしたのも私であるが、川村さんの諸作品は、中国でもヒット作となっている。