再びトライアウトに挑んだ末、2023年当時関東リーグ1部だった栃木シティからオファーを受け入団した田中。SNSを通じて「4年間怪我なしの鉄人」「練習試合得点王」という“ストロングポイント”をアピールしたことも効果を発揮した。

落ちるところまで落ちた感のある移籍だったが、ここから彼の大逆転人生が始まる。栃木シティは2023シーズンで関東リーグ2位となり、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)で優勝。2017シーズン以来のJFL復帰を果たす。田中はこの大会で4得点を挙げ得点王を獲得した。

翌2024シーズン、栃木シティはJFL復帰初年度にして初優勝を飾るとともに、J3クラブライセンスが交付され、昇格条件の観客平均2,000人以上もクリアしたことでJ3昇格が決定。田中も公式戦27試合6得点を記録し、チームに貢献した。

そして再びJの舞台に帰ってきた田中は、J3初参戦の2025シーズン、栃木シティの快進撃を支えている。前述のJ3月間MVP受賞のみならず、独特過ぎるゴールパフォーマンスでも話題だ。チームを盛り立てているだけではなく、今季栃木SCがJ3に降格したことで実現した「栃木ダービー」では強烈なライバル意識を示したことで盛り上げにひと役買い、アウェイ戦(カンセキスタジアムとちぎ/1-1)ながら12,807人もの観衆を集めた。


栃木シティ 写真:Getty Images

SNSでの成功、フォロワー約40万人

田中はJリーガーとしてだけでなく、TikTokやYouTubeでは約40万人のフォロワーを持ち、「パウちゃん」というキャラクターに扮し、プロ選手のプレーを再現する「○○みたいな彼女」シリーズが大ヒット。サッカーを知らない層にも栃木シティやJリーグの魅力を伝え続けている。チームメイトのMF土佐陸翼が撮影をサポートし、二人三脚で面白コンテンツを作り上げているという。