次に、②山内氏は言論は自由だと言うが、それなら「差別的な文章」とまで、異論を貶める文言を載せるのはおかしい(それとも、どういう差別をどういう方がやってもいい、のだろうか)。
第三に、③トランスジェンダーは「性転換者」の呼び替えではなく、指す範囲のまったく異なる概念であり、近年は両者の摩擦も増えている。この点は、フェミニストの柴田英里氏とも詳しく議論した。議事録上の発言のみでの断定は控えるが、山内氏はふたつを弁別していない可能性が高い。

なぜ「大学のフェミニスト」はおかしい人が多いのか|Yonaha Jun
今月刊行の『表現者クライテリオン』2025年1月号にも、連載「在野の「知」を歩く」が掲載。綿野恵太さん・勅使川原麻衣さんに続く3人目のゲストに、美術家でフェミニストの柴田英里さんをお迎えし、「「議論しないフェミニズム」はどこへ向かうのか?」を徹底検証しています。
表現者クライテリオン2024年1月号 | 表現者...
なお協会を退会した会員とは、おそらく性同一性障害(GID)と性別適合手術の体験を公表している能町みね子氏ではと思われるが、同氏は24年1月のツイートで、差別性を感じたのは小谷野敦氏の寄稿だと述べている。もし山内氏が挙げた事例が彼女を指すなら、そこに至る端緒が笙野氏にあったとしても、経緯の説明として不正確だ。
この後、三浦しをん氏から『文藝家協会ニュース』の誌面リニュアールにつき説明があり、笙野氏が「私の投稿が理由だとすると問題だと考える」と指摘する。あくまで経費の節減等のためで、特定の意見を排除する目的ではないとの旨を三浦氏ほかが説明し、議論は終わる。
多くの読者が感じただろうが、笙野氏による「トランスジェンダリズム批判」が問題なら、物書きどうしな以上は堂々と論戦を挑めばよいのだ。きちんと出典を明記した上で、氏の文面を引用し、「この箇所がこうおかしい」と述べればいい。