こうして複雑さを増した結び目を同じように乱流下で試すと、単純な結び目に比べて形状を崩れにくく保てることが確認されました。

輪の数が多い結び目は揺さぶられても簡単には解けず、過酷な条件でも光の絡み目が残ったのです。

このようにして、より複雑なデザインの光の結び目が乱流に強いことが実験によって示されました。

さらに研究チームは、光の結び目を意図した形に自在に編み上げる新たな手法も提案しています。

レーザー光を特殊な光学デバイスで複数のビームに分割し、それらを干渉させて好きな結び目構造を作り出すというアイデアです。

言い換えれば、光を一本の糸のように扱って自由に結び目をデザインできる技術であり、この手法を用いることで必要に応じた様々な形状の光の結び目を生成できるようになるでしょう。

今回の実験で示された安定化の工夫と相まって、こうした形状制御の技術は光の結び目を実用に役立てるための大きな前進と言えます。

安定な光の結び目を自在に作り出せるようになれば、その応用範囲は広がっていくでしょう。

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元論文

Stability of optical knots in atmospheric turbulence
https://doi.org/10.1038/s41467-025-57827-1

Sculpting isolated optical vortex knots on demand
https://doi.org/10.1364/PRJ.533264

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部