普通、結び目といえば靴ひもやロープなど、紐状のものに作るものを思い浮かべるでしょう。
では、光で「結び目」を作ることはできるのでしょうか?
光(とりわけレーザー光)は形のないエネルギーですから、一見そんなことは不可能に思えます。
しかし最近、アメリカのデューク大学(Duke University)で行われた研究によって、レーザー光を空中に絡み合わせてた「光の結び目」を安定生成することに成功しました。
一見魔法のようですが、れっきとした科学の成果です。
単なる奇抜な現象にとどまらず、この技術は将来的に光を使った新しい通信方法やセンサーへの応用につながる可能性があると注目されています。
研究の支援が海軍研究局と陸軍研究局から行われていることからも、注目度の高さが感じられます。
直進するしかできないと思っていた光がなぜ結び目を作ったのでしょうか?
研究内容の詳細は『Nature Communications』および『Photonics Research』にて発表されました。
目次
- 光は結べるのか?
- 『光の結び目』の安定化を達成
光は結べるのか?

そもそも光で結び目を作るとはどういうことでしょうか。
ヒントは「波の重なり」です。
例えば、水面に石を何個か投げ入れると、それぞれの波紋が重なり合って複雑な模様を描きます。
光にも同じように波としての性質があるため、複数のレーザービームを狙い通りに重ね合わせると、空間に3次元の干渉パターンを生み出すことができます。
そして、この干渉パターンがある条件の下で輪っか状になり、さらにいくつもの輪が絡み合うと、「結び目」のような複雑な立体構造が形成されるのです。