クラブが創設され、初練習当日の朝、阪神・淡路大震災に見舞われるという不運から始まったヴィッセル神戸。震災の影響で運営会社の筆頭株主だったダイエーが撤退する一方、チームは当時デンマーク代表FWミカエル・ラウドルップの活躍もあり、1997シーズンにJリーグに参入する。
しかし経営は苦しく、2003年に運営会社が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請。クラブは存続の危機に立たされると、2004年に楽天CEOの三木谷浩史氏が買収し、解散は何とか免れた。
2度のJ2降格を経験しながらも着実に実力を付け、いまや強豪クラブの1つに数えられるまでになったが、三木谷社長就任以降短期間での監督交代に拍車が掛かり、何とのべ32人。その平均任期は約0.93年と1年にも満たない。
シーズン途中での交代も最多23回にも上る。最初の9年間では7人、シーズン途中の交代が3回だった一方、三木谷氏が買収した2004シーズン以降の18年半でのべ25人、シーズン途中の交代が20回に激増している。
2018年、バルセロナから元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(2018-2023)を獲得したのを皮切りに、元スペイン代表FWダビド・ビジャ(2019)、MFセルジ・サンペール(2019-2023)、FWボージャン・クルキッチ(2021-2022)、DFトーマス・フェルメーレン(2019-2021)と、次々と元バルセロナ所属選手を獲得。フアン・マヌエル・リージョ監督(2018-2019)の下、“バルサ化”を目指したかと思ったら、成績不振によって方針変更を余儀なくされ、監督人事は迷走に次ぐ迷走を続けた。
皮肉なことに成績が上向いたのは、3度目の就任となる吉田孝行現監督がバルサ化を捨て、欧州を経験したFW大迫勇也やFW武藤嘉紀らを中心とするチーム作りをしてからのこと。その土台作りをした監督もまた日本人の三浦淳寛監督(2020-2022)だった。