パワハラがあったかどうかの調査や、その行動がパワハラに当たるのかの判断は、基本的には会社に丸投げされていると言ってもよいでしょう。
この話をすると「うちの会社がまともに対処してくれるわけがない。これじゃだめじゃん……」とショックを受ける人がいるのですが、これが現在のハラスメントについての法的枠組みです。
雇用環境・均等部(室)がパワハラ被害者のためにしてくれることはなにか
では、パワハラの相談先である雇用環境・均等部(室)では、会社をどのように監督しているのでしょうか。
前述した通り、パワハラ防止法とは「パワハラが起こらないよう必要な対策をするのが会社の義務である」という内容です。その「必要な対策」については、厚生労働省がガイドラインを発表しています。
ガイドラインに書いてある、会社に義務付けられている対策を怠っていると、雇用環境・均等部(室)の調査が入り、是正指導という行政処分が行われることになります。
是正指導の対象となっている会社の行為は、次のようなものです。
・パワハラ防止措置(パワハラ禁止の方針の明確化、相談窓口の設置)を行っていない ・パワハラ相談を理由とした不利益取り扱い ・パワハラ防止研修を行っていない ・事業主が自らパワハラ行為をしている ・紛争解決援助等の申出(監督署に相談しあっせん等を申し込んだこと)を理由とした不利益取扱い
監督署内の総合労働相談コーナーにパワハラの相談にいくときには、上に書いたような会社の義務違反があったことを話すと、その点については対応してもらえます。
ただ、この指導の趣旨は、被害者を救うことではなく、会社に法を守らせることなので、直接パワハラ被害の救済をめざすわけではないことは知っておいたほうがよいでしょう。
パワハラ行為自体の調査や処罰を求める方法
パワハラ被害を受けたときに相談し、被害の救済を求める方法はいくつかあります。
・社内の相談窓口の利用 会社内に設置されているハラスメント相談窓口や人事部に相談し、社内での解決を図ります。ただし、会社が適切に対応しない場合には外部機関の利用を検討します。