HG制度の根拠となっているホームタウン制度(Jリーグにおいて各クラブが本拠地と定めた地域)にも不公平感がある。
県にJクラブが1つの場合、ホームタウンを「全県」とするケースが一般的だが、2つのJクラブを有する福島県(福島ユナイテッド、いわきFC)、栃木県(栃木SC、栃木シティ)、千葉県(柏レイソル、ジェフユナイテッド市原・千葉)、埼玉県(浦和レッズ、RB大宮アルディージャ)、長野県(松本山雅、AC長野パルセイロ)、愛媛県(愛媛FC、FC今治)、福岡県(アビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州)では、限られたパイの奪い合いとなり、それは地元出身の有望若手選手の獲得のみならず、スポンサー集めにまで影響する。
神奈川県には現在、5つのJクラブがあるが、中でも湘南ベルマーレはホームタウンを拡大し続け、現在、県西部の9市11町を指定している。チーム名が「bellmare(ラテン語で「美しい海」)」にも関わらず、山あいの温泉街である箱根町までホームタウンにしている。ここまで来ると、まるで“国盗り合戦”だ。
また、町田はホームタウンを「東京都町田市」と限定しているのに対し、FC東京と東京ヴェルディは「東京都」としている。先行してJリーグ入りした特権といえばそれまでだが、大阪府でガンバ大阪が「吹田市など7市」、セレッソ大阪が「大阪市、堺市」、FC大阪が「東大阪市」と棲み分けがなされているのとは対照的だ。
これではFC東京と東京VにHG選手が多くなるのも当然だろう。人口1,400万人を超える東京という世界的大都市をたった2つのクラブで分け合っているのだから、HG選手数の面で有利に働くのは当たり前だ。
ちなみにFC大阪のホームタウン、東大阪市の人口は約48万人。栃木シティのホームタウンは栃木市、足利市、壬生町の2市1町だが、その人口を合算しても約33万人。こうした状況を無視し、“同じ土俵で勝負しなさい”というのは、あまりにも酷な要求とは言えるだろう。