また、体の部位の大きさや繁殖/成長の速さが変化した家畜動物もいます。

肉や皮革を利用する場合には、利用する部位がなるべく大きく、また質の良いものになり、繁殖や成長のスピードが野生動物より速くなることが望ましいためです。

そして、イヌやネコなど人間の生活を支え、基本的に一生を人間と共に暮らす生き物の場合にはその食性や消化器官さえ変わっていきます。

例えばオオカミはほぼ肉食で、肉以外のものは消化できなくはない程度ですが、イヌはもはや雑食です。

完全肉食動物を祖先に持ち、現在も肉食と言われるネコですら、野生であった頃からすると腸が伸びており、穀物類も消化できるようになっています。

肉は人間に欠かせない食料ですし、狩りや漁によってしか得られず、いつでも手に入るわけではありません。

イヌやネコにはある程度量が確保されている穀物も肉とともに与えられ、そんな食生活に適応するために内臓も変化していったと考えられます。

家畜化で変異する遺伝子数は動物による

イエネコのルーツであるリビアヤマネコ
イエネコのルーツであるリビアヤマネコ / credit:Cat Specialist Group

家畜化するとどのように遺伝子が変異するのか、これまで様々な動物について研究が行われています。

例えば、イノシシとブタについて遺伝子を調査したところ、イノシシにはないブタ特有の遺伝子型が41種類見られました。

オオカミからイヌへの家畜化でも36個の遺伝子が変異したと言われています。

家畜化で変わったものは動物によって異なるため、遺伝子の変わり方はばらばらです。

しかしそんな中でも、ネコの家畜化の遺伝子変異は一線を画しています。

イエネコの先祖であるリビアヤマネコとイエネコの遺伝子を調査すると、遺伝子変異が見られたのはわずか13個でした。

イヌに次いで長い歴史を持つ家畜動物であるはずのネコは、遺伝子的にみると野生のリビアヤマネコとほんの少ししか変わらなかったのです。