その結果、図4のような結果がいくつも得られて、「都市アメニティ」としての「住み心地よさ」を押し上げるのは、「安全環境」「体験環境」「地域の統合性」(まとまり)、「伝統的祭り・行事の継承」などであることが判明した。

図4 高齢者の都市アメニティ (出典)金子、1993:196
第1回の「日本計画行政学会賞」を受賞
「都市アメニティ」の比較結果は日本都市でのアメニティ政策にも寄与できると考えて、日本計画行政学会が編集発行する『計画行政』に投稿したら、無事に1988年の第20号に掲載された。全くの偶然であるが、その翌年の1989年に「日本計画行政学会賞」の制度ができ、本論文はその第1回目の受賞をしたのである。授賞式が行われた1989年(平成元年)11月11日は忘れられない記念日となった。
「高齢者の都市地域集団関係」
第3には、町内活動など都市の地域集団関係の比較やボランティア活動などの現状が大都市札幌と中都市久留米でどのように違うのかなどを明らかにするために、関連データを比較分析した。
老人クラブ活動、学習活動、趣味娯楽活動、奉仕活動、スポーツ活動、宗教活動などの実態を踏まえた比較分析だったが、久留米の高齢者の方が札幌高齢者よりも集団活動が熱心であるという結果を得た。この論文は倉沢・秋元編『町内会と地域集団』(1990)に寄稿した。
1990年まで3都市比較の論文を書き続けた
それら以外にも「都市化とボランタリーアクション」と「地域福祉と都市コミュニティ研究」を別々の雑誌論文として発表した。
何しろ独自の3都市の調査結果を得たのであるから、テーマを変えながら、先行研究を概観して、調査票に盛り込んだデータを比較しながらの論文執筆が1990年くらいまで断続的に続いた。
博士論文執筆を慫慂される
「計画行政学会賞」受賞を1989年12月に福岡に出かけ鈴木広先生にご報告した際に、先生から受賞のお祝いをいただき、そのうえでそろそろ学位論文を準備してはどうかというアドバイスをいただいた。