些細な誤訳がニュートンの思惑を外していました。
米国のバージニア工科大学(Virginia Tech)での研究によると、ニュートンの第一法則が、誰も気づかないまま300年に渡り、誤訳されていたようです。
ニュートンの第一法則は一般に「力が働いていない物体は直線移動するか静止したままである」と解釈されています。
しかし研究者たちがラテン語の原典を調べたところ、どうやらニュートンは第一法則について「力が働いていない物体」に限らず「力が働いている物体」も含んで述べていたことが判明しました。
もちろんこの発見により物理理論が書き換わるわけではありません。
しかし誤訳される前の、ラテン語のオリジナルを良く読んでみると、ニュートンが物理法則に対する深い理解がみえてきました。
研究内容の詳細は2022年2月『Philosophy of Science』にて掲載されています。
目次
- ニュートンの「第一法則」は間違って解釈されている
ニュートンの「第一法則」は間違って解釈されている

ニュートンの運動法則は、古典物理学の基礎を築いた、重要な法則です。
ニュートン以前にも物体の運動についてはガリレオやデカルトなどによって言及されていましたが、ニュートンによってはじめて基本法則としてまとめられました。
ニュートンが考えたのは、この世のすべての運動は、物体に加わる力の合計によって説明できるというものでした。
そして、私たちが中学や高校のときに習うニュートンの第一法則では一般に
「力が働いていない物体は、静止しているか直線運動を続ける」
と解釈されています。
宇宙空間にボールが存在する場合、なにがしかの外力を加えなければボールは静止したままであり、ボールが一定の速度で飛んでいる場合も、外部からの力がなければ永遠にそのままの速度で飛び続けます。