具体的にはホワイトハウス記者会(WHCA)という組織が決めてきたのだ。

記者会見室にはいま49の記者席があり、そのすべてがどのメディアの記者ということが決められている。ほぼすべてがアメリカのメディアであり、日本人記者などは「外国メディア」と記された、ただ一つの座席を交代で使うことが許されているだけだ。同じ外国でもイギリスやカナダはアメリカとの特別な絆からそれぞれいくつか席が確保されている。

この座席指定は第一列目の中央がAP通信となっていた。最前列はその他も反トランプとされるCNN、ABC、CBSという大手テレビの記者席が並ぶ。二列目の中央には民主党支持では老舗のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの席がある。この席順はすべてホワイトハウス記者会が決定してきたのだが、レビット報道官はこれからはホワイトハウス側がその席次を決めると発表したのだった。その理由としては「多様な新メディアにも機会を与えるため」と説明された。

記者会側はもちろんこの決定には猛反対である。その結果がどうなるか。トランプ政権と民主党支持メディアの正面衝突の帰趨が注視されるわけである。こうした動きの背景にはトランプ政権が民主党傾斜リベラル系の大手メディアに対して本格的な対決、さらには巻き返しに努めるという実態が存在するのだ。

ホワイトハウス記者団は取材先との親睦という名目で毎年、大統領や政権幹部を招いて、大々的なディナー・パーティーを催す。正式には「ホワイトハウス記者晩餐会」と題されている。今年はちょうどこの4月26日夕、ホワイトハウスに近いワシントン・ヒルトン・ホテルで記者の家族までが交じって数百人が集まる。だがトランプ大統領は出席しない方針をすでに明示した。

実はトランプ氏は第一期の時代からこの記者会主宰の晩餐会には出ないのだ。その理由は簡単にいえば、この催しは反トランプ色が多様な形で反映されているから、ということらしい。例えば余興に招くコメディアンや映画スターはみなかねてトランプ批判を繰り返してきた人物が多く、晩餐会の最中でもトランプ氏をおちょくるようなギャグが頻繁に飛び出てくるのだ。