就任当初は自身のスタイルが確立できずにサポーターからの批判に晒されていたが、自らの型に選手を当てはめる手法を捨て、欧州クラブで活躍する選手の個人能力を生かす方向にシフト。かつ、強固な守備を築いたことで結果を出した。加えて、サンフレッチェ広島でJ1リーグ3度の優勝(2012、2013、2015)の実績も見逃せない。
2026年のW杯北中米大会までの契約を全うし、同大会でも決勝トーナメント進出を果たせば、アジアはもちろん、欧州からオファーが届く可能性もある。
広島監督時代の看板戦術だった3バックをあっさり手放す柔軟性も持ち、ピッチ外でもコミュニケーションを欠かさないモチベーターの側面もある。代表戦の際に流れる「君が代」に涙したかと思えば、試合が始まると冷静沈着にメモを取る姿には、つかみどころのなさも感じる。相手からしてみれば不気味この上ないのではないだろうか。
問題があるとすれば、約2億円と言われている高額年俸と語学力だが、ビッグクラブともなれば10億円を超える年俸を受け取っている監督もザラにいる中、この数字は“格安”といえよう。となれば、残された問題は語学力のみ。森保監督の語学力がどの程度なのかは不明だが、実際に采配を振るうとなれば、サッカーを理解した通訳の雇用は必須となるだろう。

長谷部誠(現アイントラハト・フランクフルトU-15コーチ兼日本代表コーチングスタッフ)
指導歴:アイントラハト・フランクフルトU-15コーチ(2023-)、日本代表コーチングスタッフ(2023-)
選手として活躍したドイツ、ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルト(2014-2024)で引退後、UEFA Bライセンスを取得し、フランクフルトのジュニアユースチームを指揮すると同時にUEFA Proライセンス取得を目指している長谷部誠氏。