この背景には、
国際的な貿易自由化(GATTウルグアイラウンド) 巨額赤字と制度疲労 米国などからの圧力「自由貿易に反する」
があった。
ただし、自由化後も「農家保護」と「備蓄制度」は形を変えて温存され、実質的には中途半端な自由化にとどまった。
6. そして現在:なぜコメ不足?
2023〜2024年、日本は記録的な猛暑に見舞われ、全国的にコメの収量が激減した。
その一方で、
減反の名残で生産回復が遅い 農家の高齢化と離農進行 コロナ以降、米消費が微増 訪日観光客(インバウンド)による需要増
これらが重なって、想定以上の需要に供給が追いつかず、価格が上昇している。
7. 備蓄米を出さない?
日本には100万トン近い政府備蓄米があるが、市場に放出されたのはごく一部(0.3%程度)だ。ではなぜ、これほど逼迫しているにもかかわらず、備蓄米が本格的に市場に出回らないのだろうか?
その理由は主に以下の3点にある。
市場への影響を懸念: 政府は備蓄米を大量に放出することで、米価が下落し、民間の流通や農家経営に悪影響を及ぼすことを恐れている。 備蓄の使途が限定的: 備蓄米は災害時などの非常用や国際援助用に保有されており、通常の需給調整に使われるケースは限定的である。 民間備蓄とのバランス: 政府は、備蓄政策を通じて市場の安定を支える一方、民間の自主備蓄・流通努力を妨げないよう慎重に行動している。
とはいえ、こうした「出し渋り」が続けば、「そもそも備蓄の意味とは何か?」という疑問が生じるのも当然だ。100万トンも備蓄されているのだから、いまを非常時と考えれば、
50万トンくらい放出してはどうだろうか?是非、実行して欲しい。
8. 海外に輸出するのか?
2025年4月、政府は「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定し、2030年までにコメの輸出量を現状の約8倍となる35万トンに増やす目標を掲げた。この計画には中国市場の開拓も含まれており、岩屋毅外務大臣が「日中ハイレベル経済対話」で日本産精米の輸入拡大を中国側に求めたことが報じられている。