Jリーグの歴代外国籍選手の中で、インパクトという面では五指に入る強烈さを見せたのがFWパトリック・エムボマだろう。1990-1997に所属したフランス、リーグ・アンのパリ・サンジェルマンではほとんど出番を与えられないまま期限付き移籍を繰り返し、新天地に選んだのが日本だった。
1997年4月12日の開幕戦、ベルマーレ平塚戦(万博記念競技場/4-1)でデビューしたエムボマは、超絶トラップでDFをかわし、強烈な左足ボレーでJ初ゴールを決めた。このプレーを見せ付けられた、当時平塚所属の元日本代表MF中田英寿氏をして「あんな凄いのを連れてくるなんて反則」と言わしめた。
圧倒的な身体能力とシュート力で強烈な存在感を示し、“浪速の黒豹”と呼ばれたエムボマ。カメルーン代表主将として、1998年のFIFAワールドカップ(W杯)フランス大会アフリカ予選と並行するハードスケジュールの中でも、その得点力を発揮し続け、リーグ戦34試合29得点で得点王のタイトルを獲得する。
当時のJリーグはまだ、引退直前の名選手がキャリアの最後にプレーする“年金リーグ”などと揶揄されていた時期だったが、ガンバ大阪サポーターはじめ、Jリーグファンが「本物」を目にした出来事でもあった。
その証拠に、エムボマはその後、イタリアのセリエA(カリアリ1998-2000、パルマ2000-2001)に移籍し、2002年の日韓W杯にも出場。カメルーン代表は大分県中津江村(現日田市)でキャンプを張ったが、チームの食事メニューにうどんをリクエストしたというエピソードも残されている。

マイケル・オルンガ(ケニア)
柏レイソル(2018-2020)、現アル・ドゥハイル所属
2018シーズンJ2降格、2019シーズンJ2優勝、2020シーズンJ1優勝というジェットコースターのような3シーズンを過ごした柏レイソル。その奇跡はこのケニア人FWマイケル・オルンガなしには成し得なかっただろう。