冷戦期のNATOや現在のG7のように、民主国家は同盟を通じて互いに支え合うことで一国では得られないパワーを発揮できます。

権威主義国同士にも共通の利害で連携はありえますが、相互不信も強く長期的な結束は脆弱とされます。経済的持久戦において、頼れる仲間が多いほど有利なのは言うまでもありません。

第三に制度の回復力(レジリエンス)です。

民主主義国は政権交代や議会の監視を通じて、極端な政策が継続しにくい仕組みがあります。

たとえ一時的に誤った方向に進んでも、有権者の審判や司法のチェックで是正される可能性が高いのです。権威主義国家ではトップの判断が絶対であるがゆえに、誤った政策を修正できずに深刻な破綻を招く危険があります。

経済戦略においても、民主主義の自己修復機能は長期的な安定性の源と言えます。

以上のように、民主主義には情報力・同盟力・制度力という持久戦で光る強みがあります。

ただしそれも万能ではなく、国内の団結や民主政治の健全性を保つ努力があってこそ機能するものです。

高関税時代の到来という困難な局面だからこそ、民主主義国は自らの価値観と強みを再確認し、それを賢く戦略に活かす必要があるでしょう。

個人レベルでも「包摂性」を意識すべき理由

こうした理論は、私たち個人にも示唆を与えます。普段の暮らしや仕事のなかで、「誰もが公平なルールのもと、新しい挑戦を行える環境」がどれだけ保証されているか——それが社会全体の強靱性を左右するのです。

たとえ高関税や経済制裁などで苦しい状況に追い込まれても、民主主義・法治・市場経済という包括的制度を維持できれば、長いスパンで見たときに「持久戦」に勝ちやすいというわけです。

もちろん、民主主義国家にも多くの課題はありますが、少なくとも歴史や研究が示すのは、閉鎖的な体制と比べると「しなやかさ」において優位があるということ。

高関税時代の混乱を乗り越える鍵も、実はそんな包摂的制度の“地味だけれど強い”力にかかっているのかもしれません。