フィンランドの徴兵検査データでは、特殊部隊候補を含む若年男性の4.8 %が極端なサイコパス得点域(上位5 %相当)に入っており、これは基準値のおよそ1.1倍に当たります 。
もっとも金融分野のデータは一筋縄ではなく、ヘッジファンド運用者の研究ではサイコパス特性が高い群の年間リターンが平均で約1 %低下するという負の効果も報告されています 。
総じて、恐怖心の低さや冷静な判断力といった要素は手術室、災害現場、戦場、そして取締役会議室のような極限状況でパフォーマンスを押し上げる一方、規範や監視が甘い環境ではモラルハザードや搾取行動の温床になり得るといえます。
このような研究結果が示すように、サイコパスという性質を危険要因とするのではなく、その才能を有効活用できるならば、社会全体にとって大きな利益になるでしょう。
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元論文
Do early environmental factors influence the relationship between psychopathy and crime: Longitudinal findings from the transitions in Amsterdam study
https://doi.org/10.1016/j.jcrimjus.2025.102399
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部