たとえば図1で、小売店が「卸値が9000円だったので利益は1000円で消費税は100円」と税務署に申告しても、問屋の請求書には「卸値は7000円」と書かれているので、うそがばれてしまいます。だから消費税は税金をごまかしたい自営業者にいやがられるのです。
Q. 輸出企業は還付金で得してるって本当ですか?うそです。たとえば輸出業者(会社A)が国内仕入先に消費税50円をはらい、国内では消費者から100円受け取る場合、輸出品の消費税は国内で受け取れません。これだと仕入先にはらった消費税が損になるので、税務署から還付してもらうわけです。これは赤字のときもおこなわれる仕入税額控除で、会社Aは得も損もしていません。
貧乏な人は所得のほとんどを消費しますが、お金持ちは所得に対して消費が少ないので、貧乏な人ほど重くなります。
たとえば年収100万円の人が90万円消費すると、消費税を9万円はらうので、所得に対する負担率は9%ですが、年収1000万円の人が500万円消費すると消費税は50万円なので、負担率は5%です。このように所得が増えると負担が軽くなることを逆進的といいます。
Q. 逆進的な消費税は不公平ですね?税務署が所得を100%捕捉していれば消費税は不公平ですが、実際には図2のように6割以上の企業が赤字(所得はマイナス)ということになっています。
中小企業の経営者や自営業者は所得をごまかしている人が多いので、所得の捕捉率はクロヨン(サラリーマン9割・自営業6割・農業4割)といわれています。給料から100%天引きされるサラリーマンにとっては、所得税こそ不公平な税金です。
Q. 消費税は何に使われるんですか?消費税法の第1条2項には「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と書かれており、すべて社会保障に使うことになっています。図3のように国の社会保障に投入されている公費50.4兆円のうち、21.7兆円が消費税ですから、社会保障以外に使うことはできません(例外は教育無償化)。