ただし、注意点も忘れてはいけません。

腎臓に疾患を抱える方や、過去に尿管結石を経験した方は、カリウム摂取を増やす前に必ず医師に相談してください。
カリウムは腎臓で排泄されるため、腎機能が低下していると血中カリウム濃度が危険なレベルに上昇することがあります。
また、体質によってはカリウムの摂取増加が尿管結石のリスクを高める場合もあり、経験者にとっては再発防止の観点から慎重な判断が求められます。

さらに、ここで一つ重要な注意点があります。

今回紹介したウォータールー大学の研究は、ヒトを対象とした臨床試験ではなく、コンピュータシミュレーションによる解析に基づいています。

このシミュレーションモデル自体も、ヒトの生理データを直接基盤にしたものではなく、動物実験(主にラットのデータ)を人間向けにスケーリングしたものを使用しています。

そのため、今後はヒトを対象にした臨床試験による検証が求められる段階です。

とはいえ、今回の研究は従来の「カリウムが血圧に良い」という経験則を超え、性別による違いも含めた科学的な裏付けを持つという意味で、きわめて価値の高いものです。

また安全に、無理なく、血圧上昇の対策を日常生活に取り入れる方法として、十分な意義があるでしょう。

慢性的な健康問題に対する提言として、悪影響の心配はなく、誰でも簡単に日常で試せるというのは重要なことです。

明日の買い物から、バナナやほうれん草をひとつ多くカゴに入れてみませんか?

小さな工夫が、将来の大きな健康につながるかもしれません。

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参考文献

High blood pressure? Eat more bananas
https://uwaterloo.ca/news/media/high-blood-pressure-eat-more-bananas

元論文

Modulation of blood pressure by dietary potassium and sodium: sex differences and modeling analysis.
https://doi.org/10.1152/ajprenal.00222.2024