海域の工事費が突出しています。超ざっくりですが、仮に陸上の275KV送電線800km建設するのに鉄塔間300mとして2,700基建設するとします。多く見ても4,000億円くらいでしょうか。海底ケーブルの1/2~1/3でできてしまう計算です。

海底ケーブルはなぜ高コストなのかというと、電力用の海底ケーブルは導体の部分は銅でできているため、通信用の光ファイバケーブルより材料のコストが高く、重量も重いです。そのため布設するコストもかかるのです。長距離直流送電はロスが少ないなどメリットもありますが、再エネのように設備の利用率が低い電源ではこれらのメリットを享受することは難しいです。

まず、この膨大な送電線建設コストは誰が負担するのか? 同資料を読み進んでいくと以下のように書いてあります。

「連系線増強に伴う便益は受益者負担の観点から原則全国負担とし、特に再エネ効果由来の効果分については、再生可能エネルギー発電促進賦課金が全国で電気の使用量に応じた負担となっていることにも鑑み、再生可能エネルギー発電促進賦課金方式を選択肢の一つとして検討する。」

面倒な言葉が並んでいますが、つまりは「再エネ賦課金の単価を少し上げてやれば、1兆や2兆円くらいすぐに出てくる」という再エネ賦課金が役人の打ち出の小槌状態になっていることがわかります。今後、徐々に下がってくると思われる、再エネ賦課金をみんなで狸の皮を数えるように狙っているのです。

そもそもこの送電線必要なの?

発電所の建設と送電系統の建設は一体のものです。発送電一貫体制の時代は、電源の開発にあわせて、効率的に送電系統を拡充してきました。

今回は、全て想定の上での計画です。北海道や東北に大量の風力発電所ができるはず。風力で200万KW、太陽光で200万KWくらいになるはず。そうなると日中を中心に北海道、東北管内では電気が余剰になって、東電管内にもっと沢山送らなくてはならなくなるはず。そうなると現在の東北電力と東京電力の交流送電線を使った福島口での連系では容量が足りなくなるはず。そこで日本海側に新たに送電線を建設する必要があるというシナリオです。