岡山はホームゲームの度に盛り上がり、スタジアム外の飲食ブース「ファジフーズ」はアウェイサポーターからも好評だ。昨年の平均売り上げは約430万円だったが、今シーズンの平均は660万円。4月6日のFC東京戦では、場内売店も含め820万円と過去最高の売上を記録した。

ホームであるJFE晴れの国スタジアムのキャパシティは1万5,500人。現地ではチケットがプラチナ化し、争奪戦が繰り広げられているだけではなく、アウェイ席も販売開始数分で売り切れるフィーバーぶりだ。昨シーズンのJ1クラブの平均観客数約2万300人で試算すると、経済効果はさらに約7億円増加するという試算を示した上で、DBJは「経済効果の観点からは、新スタジアムの建設を援護する立場だ」とした。

加えて「ファジアーノ岡山は経済効果だけでなく、地域の一体感やスポーツ文化の振興、岡山のイメージアップなどの社会的価値も大きい」と評価されている。

JFE晴れの国スタジアム 写真:Getty Images

J1基準を満たす岡山新スタ建設の可能性

日本政策投資銀行(DBJ)は、政府が100%出資する政策金融機関で、「インフラや産業振興など、経済・社会の発展に必要な分野に対し、長期的な資金を提供」「都市開発に関わる大規模プロジェクトの資金調達のサポート」「地方創生や中小企業の成長を促進する融資・コンサルティングを通じた地域活性化」などを主に担っている。民間金融機関が対応しにくいリスクの高い分野や社会的意義の大きい事業に重点を置き、収益性と公共性を両立させるのが特徴だ。

DBJがこのようなレポートを発した意味は大きい。これは民間のコンサルティング会社やマーケティング会社が出したバイアスの掛かった数字ではなく、いわば国からの“お墨付き”を得たことを裏付けるからだ。

現状、JFE晴れの国スタジアムは、Jリーグが定めたJ1ライセンスのスタジアム基準を満たしていない。観客席の3分の1以上が屋根で覆われていないためだ。スタジアム基準の是非はともかく、この事実こそが、岡山サポーターが新スタジアム建設を熱望する根拠となっている。