学習に脳は必要ありません。
デンマークのコペンハーゲン大学(KU)で2023年に行われた研究で、脳をもたないクラゲでも連想を含む高度な学習が可能であることが示されました。
これまで高度な学習は、人間や鳥、タコ、昆虫など脳を持つ動物だけでみられる現象だと思われていました。
しかしこの研究により、脳のあるなしにかかわらず、神経系そのものに学習を行う仕組みが存在している可能性が示されました。
研究者たちは、学習や記憶といった基本的な仕組みの起源が、脳を持つ生物が誕生する以前から存在しており、現代のクラゲにも引き継がれていると述べています。
神経とは、学習とは、そして脳とは何なのか?
認知能力の理解に大きな変革が起きようとしています。
研究内容の詳細は2023年9月22日に『Current Biology』にて掲載されました。
目次
- 脳がないクラゲが「学習できない証拠」はなかった
- クラゲは学習を7.5分で完了させる
- 摘出されたクラゲのロパリアに仮想現実を体験してもらう
脳がないクラゲが「学習できない証拠」はなかった

生存には学習が不可欠です。
「過去の経験をもとに今の行動を変える」という学習能力を持たなければ、動物たちは無駄な動きで体力を浪費し続け、繰り返し自分の身を危険な状態に晒すことになります。
厳しい自然界において学習能力を持たない動物が生き残るのは極めて困難です。
実際これまでの研究で、人間や魚のような脊椎動物だけでなく、昆虫、節足動物、タコやイカなどの頭足類に至るまで、幅広い種において学習能力が確認されています。
パブロフの犬で知られる実験では、ベルの音がするとエサが出されると犬に学ばせれば、ベルの音を聞いただけで犬はよだれを垂らすようになります。