本稿を執筆するにあたり、少なくない情報に目を通してきた。その上で、筆者の目には、トランプ政権のキーパーソン達が、決死の覚悟で腐敗的既得権益から民主主義を取り戻そうとしているように映る。なぜなら、その想いが彼らに無ければ、ここまでする必要は全くないからである。無難に4年間をやり過ごせばいい。
実際にマスク氏率いるテスラ社の株価は今年に入ってか45%近く暴落し※75)、至る所で不買運動が勃発している。いや、不買運動どころの騒ぎではない。多くのテスラ車が組織的な規模感で燃やされるなど、暴力的行為に晒されている※76)。
既得権はどの国にもあるが、その不正を暴き、転換をはかることは、規模感が大きければ大きい程、自分の身を危険に晒すことになる。並外れた覚悟がなければ、決して足を踏み入れない領域に既に突入している。ここまでの覚悟を示す政権は、今後も現れないかもしれない。マスク氏は、「今が官僚の独裁から民主主義を取り戻す唯一無二のチャンスだ。今しかない。今でなければならない」と述べている※77)。
常識の革命が真に人民のための革命たるには、この唯一無二のチャンスを逃さず、そして今後も手を緩めず、むしろ逆戻りを許さぬところまで突き進まなければ成就しないであろう。政治の在り方そのものを根本から覆すという、歴史に刻まれる無血革命になるか、あるいは4年という期限付きの祭りごとに終止してしまうのか。その分水嶺に法という一線があり、越えるか越えないかで、その後の景色は全く異なるであろう。
本当に腐敗的既得権益や非人道的な行いが蔓延っているのであれば、その中枢にいる人たちには法的な裁きと、それに伴う社会的な制裁を与え、同じことを繰り返す意欲と基盤を消し去らねばなるまい。トランプ氏の革命が正しい道であって、かつそれが客観的に示されたならば、後戻りを許さぬところまで突き進めばこそ、きっと世界は良い方へと向かっていくだろう。