ポルトとしては1986/87シーズン以来の快挙であり、世界中を驚かせた。このシーズン以降、欧州5大リーグ以外からCL優勝クラブが出ていないという事実が、いかに大仕事だったかを物語っている。

モウリーニョ氏は元々、ボビー・ロブソン氏(2009年死去)が1992年にスポルティングCP監督に就任した際の通訳としてスタッフ入りし、翌1993年にはアシスタントコーチに昇進。ロブソン氏とともにポルト、バルセロナで通訳やアシスタントコーチを務め、ロブソン氏がバルセロナを去った後も、次期監督のルイ・ファン・ハール氏のアシスタントコーチを任された。当時のバルセロナには、後に不俱戴天の仇となるジョゼップ・グアルディオラ氏(現マンチェスター・シティ監督)も所属していた。

モウリーニョ氏の監督デビューは2000/01シーズン、いきなりポルトガルの強豪ベンフィカだった。しかしクラブ内のゴタゴタに嫌気を差し辞任。2001/02シーズン、ウニオン・レイリアの監督を経て、2002年1月、またも名門のポルトからオファーを受ける。当時不調に喘いでいたチームを立て直し、3位フィニッシュさせると、「来年はチャンピオンにしてみせる」とビッグマウスを炸裂させた。その言葉はメディアの冷笑を買ったが、翌2002/03シーズンには国内リーグ、国内カップ、UEFAカップの3冠を達成し、批判的なメディアを実力で黙らせた。

モウリーニョ氏のチームは【4-3-1-2】のフォーメーションを敷き、鋭いカウンターを武器としたが、ポゼッションを放棄したわけではなく、後にビッグクラブへと移籍していく元ポルトガル代表MFデコやセルジオ・コンセイソン、コスティーニャ、マニシェといったテクニックと運動量を併せ持った選手も多く揃っていた。

後にモウリーニョ監督のアシスタントとなり、チェルシー(2011-2012)、トッテナム・ホットスパー(2012-2013)、ゼニト(2014-2016)、上海上港(2016-2017)、マルセイユ(2019-2021)の監督を歴任したアンドレ・ヴィラス・ボアス氏(現FCポルト会長)も選手として在籍していた。