トランプの移民取り締まり策を支持する国民が少なくないという点も考えないといけない。移民問題が大きな問題としてとらえられているのは、確かだ。
「共和党はすっかり変わってしまった」
―トランプ大統領もマスク氏も「国民は私たちに投票した」とも繰り返し、まるで国民全員が支持しているかのように話しているが。
バロン氏:確かに国民はトランプ氏に投票し、選挙に勝った。共和党が上下院を仕切っているせいもあるだろう。共和党はトランプ氏が牛耳っている。共和党ではなくてトランプ党とかアメリカ党とか名前を変えるべきなのかもしれない。
共和党はすっかり変わってしまった。現時点で、トランプ氏に反旗を翻す共和党議員はほとんどいない。トランプ氏に支持されないと、自分の議席を失うのではないかと恐れている。
―トランプ氏とマスク氏とはいつか衝突するか。
バロン氏:いつかは関係は悪化するだろう。どんな政治関係もそうだ。トランプ氏は自分のそばに頭がよいテック人を置いておくのが好きなのではないか。自分のために汚い仕事をしてくれるような人物だ。
マスク氏が閣僚と衝突するのも無理はない。マスク氏は20代で構成されたチームを使って、誰を解任するかを決めている。誰かに話をして決めるのではなく、データやアルゴリズムで決めているようだ。リサーチを十分にした気配がない。重要な職に就く人を辞めさせて、支障が生じ、また再雇用した場合もある。
悪い状況が出てきたら、トランプ氏はマスク氏のせいにするかもしれない。トランプ大統領は自分では責任を取らない人物だ。今年になって、1期目の政権のマイク・ポンペイオ元国務長官への警備が断ち切られたが、ほんの少しでも自分のことを批判したからというのが理由だったようだ。
―リベラルなメディアは、人が合理的にふるまうことを前提として考えているようだ。実際は違うだろう。どうするべきか。
バロン氏:確かに、合理的にふるまうだろうと思っていても、実際に違うことはある。また、人は「この人とは合う」と思う人を選びたがるものだ。また、自分の親しい友人が投票する政党はどこかなどが気になるものだ。合理的というよりも、感情を元にして行動を決めているのが現実だ。