トランプ氏は今、アメリカの民主的な組織を破壊しようとしている。様々な事実を否定する。

民主主義社会を信じる私たちは、民主主義の基盤となる組織を守るよう、自分ができることをしなければならない。

連日、ジャーナリストは良い仕事をしていると思うが、心配なのは所有者だ。大手テレビ局は特に企業が経営している。企業は様々な利害関係を持つ。

新聞では特に心配なのがワシントン・ポストだ。私がいるときはベゾス氏は干渉しなかったが、最近の例があるので、心配だ。ロサンゼルス・タイムズも、トランプ氏に迎合する姿勢を見せている。

インタビューを聞いた後で

筆者には、2つのことが特に強く印象に残った。

一つは、「ジャーナリストやメディア組織が読者・視聴者とコミュニケーションをする方法を変えなければいけない」という点だ。

これは自分自身が読み手・視聴者・情報の受け取り手となった時、そして自分が情報発信者でもある時に、しみじみと感じていることだ。

筆者はニュース情報の多くを音声(ラジオ・ポッドキャスト)あるいは映像(テレビや映画)で吸収している。ニューサイトでも読むが、音声・映像でのインプットが大幅に増えている。文字情報だけではなく、音声・映像での発信でないと届かない場合があるのではと感じている。

もう一つは、「大きな変化が米国社会で起きている」という点だ。

欧州ではトランプ政権の方針によって安全保障体制が大きく変わりつつある。ポーランドはすべての成人男性に軍事訓練を受けさせる計画を立て、フランスのマクロン大統領は5日夜のテレビ演説で、ロシアの脅威が欧州に差し迫っているとして、フランスの核兵器による抑止力を欧州に広げることを検討すると表明した。トランプ・ショックのあと、それぞれが慌てて動きだした感じがある。

しかし、「何が起きるかわからない」から、そうするしかないのが現状なのである。

編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2025年3月11日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。