「検証する(examine)」という言葉に注目したい。これは、カーテンの後ろに入って、何が起きているかを報道することを指す。私たちは活動家ではない。独立の立場から、何が起きているかを探し出し、報道するのが役目だ。

―どのメディアが優れた仕事をしていると思うか。

結構たくさんある。ワシントン・ポストもそうだ。最近のベゾス氏の動きは悲しいが、編集内容については干渉していないようだ。私が同紙の編集主幹だった時には干渉はなかった。もし干渉があったなら、私もあなたも知っているはずだ。というのも、ニュースの編集室というのは情報が最も漏れやすい場所だからだ。

ベゾス氏とワシントン・ポスト

昨年、同紙は11月大統領選で民主党ハリス副大統領と共和党トランプ前大統領のいずれも支持しないと表明。同紙が大統領選で支持する候補を表明しないのは36年ぶり。ベゾス氏がこの方針を決めたといわれている。当時、バロン氏は「民主主義を犠牲にする臆病さ」と評した。

バロン氏:ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、放送局ABC、CNN、雑誌アトランティック、ニューヨーカーもよい仕事をしている。ウォール・ストリート・ジャーナルは保守系かもしれないが、トランプを非常に厳しく批判している。

メディア消費は分極化

ーそのようなメディアは国民にどのように広がっているのか。

バロン氏:米国のメディア消費は、ほかの国もそうであるように分極化している。実際にニューヨーク・タイムズを購読して読んでいる人はひとけた台ではないか。10%にはなっていない。ワシントン・ポストもそうだ。

トランプを支持する人はフォックス・ニュースを見ている。別世界だ。フォックス・ニュースは事実よりも意見の表明が多い。本当ではないことを言っている。トランプ政権のプロパガンダになっている。政府がメディアに出るときに選ぶのは、フォックス・ニュースだ。