―トランプ政権のテック業界への影響はどうか。ジャーナリズムにはどんな影響があるのか。

バロン氏:テック業界はトランプ氏に媚びへつらう状況だ。それは彼らが恐れているからだ。政府は様々な手法でテック業界を規制することができる。実際に、大統領選中にトランプ氏はメタのトップ、マーク・ザッカーバーグ氏を投獄すると言ったことがある。選挙が公平・公正に行われるように募金をしたからだ。

今や、ザッカーバーグ氏は180度変わった。トランプ支持者を取締役会にいれ、ポッドキャスト番組に出演して、政治にはもっと男性的な力が必要だといわせて、若い男性有権者にアピールしようとした。

(アマゾン創業者)ベゾス氏の場合は、ワシントン・ポストだけではなく、はるかに大きい規模である自分のビジネスへの影響を考えたのだろう。アマゾンは連邦政府とクラウドサービスで大きな契約を結んでいる。

ベゾス氏は宇宙プロジェクトも手掛けている。最近、ロケットを軌道に乗せることに成功した。マスク氏が所有するスペースXと競合しようとしている。

トランプ氏はいつも同じ手段を使う。力、いじめ、脅しだ。

―抵抗しようとするテック人はいるのか。それとも全員そうなのか。

バロン氏:リンクトインの創業者は民主党の支持者で、そういう意味では反対の位置にいる。しかし、あまりいない。

「もっともっと報道するべき」

ージャーナリストやメディア組織はどうするべきか。

バロン氏:ジャーナリストは民主主義社会で重要な役目を持つ。もっともっと報道するべきだ。すべてを検証し、事実をしっかりとつかむこと。誰かを低く見ることはしないこと。独立した立場から報道する。これが私たちへの信頼感の源となる。

最終的には、市民がどんな政府にしたいのかを決めなければならない。

私たちメディアには政府がやっていることを積極的に報道していく機会と義務がある。

米国で最も政治力を持っているのは大統領だ。世界的に、と言ってもよいだろう。だからこそ彼について書くべきだ。米国の創設者たちが自由で独立した報道機関の設置を憲法で定めている。