―どこまで破壊的行動を続けるだろうか。

バロン氏:はるか深いところまで、と言うしかない。米国は民主主義が強い国で、大統領がすべてを決めるような動きには抵抗できると思っていたが、もろいものだった。上下院も共和党が仕切っている。司法は頑張っているが。

これまでは大統領でも司法の判断を受け入れることが前提だったが、トランプ氏は受け入れない可能性もあるだろう。これから、状況はもっと悪くなると思う。

「国民の半分はトランプ支持」

ー国内の有権者の反応はどうか?

バロン氏:国民の半分は彼を支持し、半分は支持していない。今は若干のトランプ離れがあると思う。

しかし、政府が肥大していて、無駄があると多くの人が思っている。マスク氏は、「米国の対外援助制度は腐敗している」、「犯罪者集団が運営している」というが、その証拠を示していない。議会が承認し、実行されてきたのだから腐敗や乱用はないと思うが、トランプ氏やマスク氏がそう主張する。国内には対外援助の意義を疑問視する人もいる、なぜ外国を助けなければならないのか、と。

「米欧の協力体制の意義を信じない」

バロン氏:外交について言えば、トランプ氏は米欧の協力体制の意義を信じていないのだと思う。

関税については、そのうち、国民が諸外国に高関税をかけたことの影響を身をもって感じるようになるだろう。トランプは関税によって物価を下げると言っていたが、そうはならないだろう。経済が不安定になる。

ガスや車の価格が上がっていくと、国民は「何か違う」と感じるようになる。トランプ支持者は共和党支持者の州(「レッドステーツ」)にいることが多いが、ここに住む人は国からの支援を民主党支持者がいる地域(「ブルーステーツ」)よりも多くもらっている。貧困度も高い。共和党支持者の地域の大学の研究も政府支援の金額が大きい。すでに政府省庁の規模削減化政策の影響が出ている。

「トランプ政権に媚びる米テック業界」