以下はインタビューの一部である。

マーティン・バロン氏 1954年10月生まれ。関与した調査報道記事で米ピューリッツアー賞を18回受賞した。ボストン・グローブ紙の編集長(2001-12年)、ワシントン・ポスト紙の編集主幹(2013-21年)を歴任。ボストン・グローブ紙ではカトリック教会の神父らによる児童への性的虐待と教会による組織的隠蔽を暴き、同紙はピューリッツアー賞を公益報道部門で受賞。事件の内幕は映画「スポットライト世紀のスクープ」として公開された(2015年、同映画はアカデミー賞の作品賞と脚本賞を受賞)。2013年10月、ワシントン・ポスト社はアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏に売却された。バロン氏の最新の著作は、「権力の衝突:トランプ、ベゾス、ワシントン・ポスト(CollisionofPower:Trump,Bezos,andTHEWASHINGTONPOST)」(2023年)である。

インタビューに答えるバロン氏(動画よりキャプチャー)

「事前準備ができない」トランプ政権

ーバロン氏はトランプ政権の1期目(2017-20年)の時、ワシントン・ポストの編集主幹だった。今回は2期目の政権となるが、米社会はトランプ氏の再来に対して、準備できていたと思うか。

バロン氏:トランプ氏のような大統領には、事前の準備はできない。イーロン・マスク氏をまるで副大統領のような存在にした。彼は閣僚の人事や政府省庁の仕事に大きな影響力を持つ。このような事態は予期できなかった。

私たちは、トランプ氏が政権を取れば、その言動を穏やかなものにするだろうと思っていたが、そうではなかった。

トランプ大統領はロシアのプーチン大統領とその権力にあこがれ、プーチン氏とは友人であるというメッセージを出している。欧州やカナダはそうでもないと。すべての予想を超えた動きと言える。

トランプ氏は「自分がやることはすべて正しい」と考えている。周囲をイエスマンで囲んでいる。