また会社組織ですと辞める社員が出るとその組織の責任者にマイナス点がつくこともあるでしょう。人事部長あたりから「〇〇課長、オタクの部署からまた退職者が出ているようだけど何か組織内に問題でもあるんじゃないかね?」と言われるのはたまらないわけで辞めないように腫れ物に触るぐらいのものになりかねないのです。
日経に上田晶美さんというハナマルキャリア総合研究所の方のコラムがありました。これを読んで私はのけぞるほどびっくりしました。面接の際によくある質問の一つ、「自分の長所と短所を述べてください」のうち、短所を聞く意味がないというのです。「自分の短所について深く掘り下げる必要があるだろうか。仕事は自分の長所を生かしてするもので、短所のことを考えても無駄ではないか」というわけです。その上で「就職面接で不適切な質問をしてはならないのはハラスメントに敏感になってきた現代において常識である。もちろんセクハラ、パワハラは言語道断。それに加えて短所のような仕事にあまり役に立たない、しかも学生に不利になる情報収集も考え直してほしい」そうです。
マジか?上田さんはメディアにも出演しているキャリアコンサルの方ですが、ここまでくると昔の労働組合的左翼発想に近い気がします。
先日も述べたように今の学生は就職する企業の業務内容はほぼ無知で全く白紙のキャンバス状態で入社してくるのです。その若手に企業が時間と金をかけて色を付け、キャンバスに描くような教育を行うわけです。ありがたいですよね。一方、大和証券のように即戦力=その分野の基礎知識や能力を持った人を初任給50万円で採用すると打ち出したところもあります。今後、このスタイルが増えてくると思われ、就活は二分化すると思います。つまり真っ白なキャンバス型の学生を時間をかけて教育するパタンと即戦力採用型です。
北米だと即戦力採用型なので多少性格がゆがんでいても成果を出してくれればよいのです。ところが日本の場合メンバーシップ型雇用なので組織の和は重要なのです。また日本は一度雇うと「やっぱりお引き取りください」と言えない仕組みなので入り口の検査は極めて重要なのです。その選定過程において外部コンサルが「あれはダメ、これもダメ」というのは雇用のミスマッチを引き起こしかねないのです。キャリアコンサルなのでどこかにはめ込めばよいという感じがしないでもありません。