この点については、よくよく米国にも理解してもらわないといけない。単に貿易赤字などの経済指標に拘るのではなく、これを機に安全保障も含めて、日本は米国に対して対等な要求をすることが大切である。

例えば、防衛力の強化というのを日米で更に進めるのにも良い機会だと思う。日本が米国へ投資し、逆に米国も日本へ投資してもらう。共同して防衛産業を育て、日本も米国同様に国内の一大産業に育てることだって視野に入れてもらいたいものだ。

米国が世界の警察官をやめたがっている状況を見れば、日本が独自の防衛力を高めることは安全保障上の喫緊課題である。更に言うならば、防衛産業に限れば、日本こそが大幅な対米貿易赤字に陥っているであろう。それを突き付けて、是正する流れを米国の後押しを得て作れば良い。

安全保障という観点で言えば、エネルギーもまたしかりである。日本は真っ赤かの貿易赤字だ。米国のLNG事業に日本が投資する話があるが、米国にも日本へ投資してもらい、日本のエネルギー自給率を高める契機にしてはいかがだろうか。食料安全保障については、日米がお互いの食料自給率を高められるよう尊重し合うことが重要であろう。

米国は、自らが犠牲になって他国を富ませたり、一部の富裕層だけを富ませることに、嫌気が指しているのである。特に中国に対しては安全保障の観点からも厳しいスタンスで挑むであろう。

トランプ関税は米国のその様な姿勢を容易な手段で見える化しただけであり、何も関税率をお互いに揃えることを求めている訳ではない。慌てふためくことなく、ディール交渉のテーブルに着き、冷静に自らの国益を追求した交渉をおこなうべきである。日米は最も重要な同盟国であるのだから、お互いを尊重しながら、共に発展してゆけば良いのである。

米国からの輸入に頼るところは頼り、逆に日本からの輸入に頼ってもらうところの理解を得る。数字上の単純なバランスを求めるのではなく、同盟国としてのバランスを是正することが肝要である。