政治家や投資家たちの冷静な対応が求められる。今後の日米交渉を有利に進め、実体経済を強化し、結果として株価も上がってゆく流れを作ることが期待される。

4月8日のグーグルファイナンスより
日本の産業強化に米国の後押しを得たい
これを機に日本が実体経済を強くするには、日米相互理解に基づく国内産業の育成と、独自の関税政策が考えられるのではなかろうか。
日本が強化したい、強化すべき産業を明確にした上で、米国の後押しを得るチャンスだ。米国の産業育成を応援するが、日本の産業育成も応援してもらいたいと、堂々と言えばいい。その上で、交渉を経て勝ち取りたい成果が何なのか。それが明確でない以上は、交渉で主導権を握ることはおろか、対等な話もできまい。
早速、米国との関税を全て撤回すると表明した国が複数あるが、モノづくり大国の日本は恐らくそうはゆかない。守りながらも強化する産業、輸入に一定程度頼っていく産業の線引きが明確でないといけない。
分かり易く言うと、日本が独自に賄えずに海外に依存している産業については、相対的な米国依存を高めれば交渉を進めやすいのではないかと思う。例えば、エネルギーについては、米国は日本向けLNG輸出を再開しているので、他国から輸入しているLNGをいくらか米国に付け替えるなどすれば良いであろう。
米国の貿易赤字を解消する姿勢を見せながら、日本は自らの成果を勝ち取らねばならない。先述した守るべき産業・強化すべき産業が明確になったなら、この際、関税だって産業によっては引き上げれば良いと思う。対米のみならず、その他の国に対する関税すら見直すチャンスではないか。
安全保障を強化するチャンスに
ベッセント財務長官によると、米国も安全保障という視点を重要視している。彼らもまた、コロナ禍におけるサプライチェーンの脆弱性を痛感し、安全保障に立脚した経済政策の必要性に気付いている。日本もこの流れに乗るべきである。日本も経済安全保障政策を進め、日米が共に強くなることで、世界に対して日米同盟がもたらす安全保障上の恩恵はより大きなものとなろう。日本が強くなることは、米国の国益になる。