果たして、どうやってあの売電価格を設定したのでしょうか。入札価格の検証が不十分だったのではないでしょうか。経産省としても、「天下の三菱商事が、まさか途中で事業を投げ出すことはあるまい」と高をくくり、価格の安さだけで落札を認めてしまったのではないでしょうか。

(2)すでに迷走が始まっていた第2ラウンド

第2ラウンドは途中でルールの大幅な変更があって入札のやり直しがありました、また政治家への贈賄疑惑などもあって長期間かかったので、年表式にまとめます。

2021年12月:秋田県八峰町能代市沖のみ 公募入札開始 2022年3月:公募評価基準見直しのためやり直しとなる。 2022年10月:新たな評価基準作成 2022年12月~2023年6月:八峰町能代市沖の含め4個所、新評価基準で公募入札開始 2023年9月:日本風力開発の贈賄疑惑が発生、公募入札基準の見直しを依頼? 2023年10月:三菱商事の風力事業会社、業界団体を退会 2023年12月:入札結果発表(八峰町能代市沖のみ港湾の調整のため、2024年3月)

一度入札が始まっていた八峰町能代市沖の案件について、経済産業省は入札をやり直し、1年遅らせてまで公募評価基準の見直しを行いました。

その見直し内容には、第1ラウンドで全海域を独占した三菱チームを排除することを意図しているとも受け取られかねない要素が含まれていました。そのためか、贈賄疑惑が明らかになった翌月の10月、三菱商事の風力発電事業会社は業界団体を退会しました。これは、公募基準の見直しに対する強い反発の意思表示と受け取られています。

公募評価基準の見直しは大きくは3点です、簡単に説明します。

① 1事業体あたりの発電・送電容量の上限を計100万kWとした

このルール変更により、1回のラウンドで複数の海域に入札することは、実質的に不可能となりました。第1ラウンドでは、由利本荘沖の運転開始時期が2030年12月と遅く、3ヵ所すべてを独占した三菱チームが、1ヵ所ずつ順番に施工することで全体の進行が遅れるのではないか、という懸念が出されました。こうした批判を受けて、できるだけ案件をばらけさせることを目的に、このようなルール変更が行われたようです。