この制度について、経済産業省は「市場価格が高騰する=電力が不足するような局面で、より多くの電気を売ろうとするインセンティブが働く仕組み」だと説明していますが、蓄電池は安価な設備ではなく、そう簡単に経産省の思惑どおりに事が進むとは思えません。
発電事業者にとっては、このプレミアムがある程度高ければ、事業としての採算が見込めます。しかし、風力発電の入札では、実質的にこのプレミアムの金額(実際にはFIP基準価格)を各社が入札するかたちとなっています。
そのため、受注を目指す各社は、プレミアムの付かない最低価格、すなわち市場価格と同額での売電となる価格で入札を行っています。たとえば、第1ラウンドで三菱商事が提示した14円/kWh程度の固定価格での売電よりも、市場価格と同額で売電するほうが有利だと判断し、多くのチームが「ゼロ・プレミアム」での入札を選択したのです。こうして今度は、売電価格では一切差がつかない公募評価基準となってしまいました。
(3)有力候補が順当に落札、第3ラウンド第2ラウンドから1年後の2024年12月に、青森県日本海南部(鯵ヶ沢沖)と山形県遊佐町沖において入札が実施されました。有力候補と目されていたJERAチームと丸紅チームが、それぞれ順当に落札しています。
この時点で入札はすでに3回目となっており、参加チームは計7チームと、以前よりも数が減少してきました。また、入札結果で下位となったチームの得点が低かったことから、次回以降のラウンドで応札を見送る事業者が出てくるのではないかという懸念も生じています。
(4)また、ルール変更で迷走が続く、第4ラウンド2030年までに1,000万kWの導入目標を達成するには、まだまだ足りないのが現状です。経済産業省としては、少しでも多くの事業者に入札へ参加してもらおうと、再びルールを見直すなど、必死にもがいている状況です。