しかし経済力でアメリカに対抗しようとする意気込みのない諸国は、そのようなことはしない。アジアやアフリカの国々からは、報復はしないことを宣言したり、相互ゼロ関税を目指す交渉が提案されたりしている。帝国主義的政策の成果である。

ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏は、次のように述べたという。「トランプは関税導入でグローバリゼーションに終止符を打つ。これから世界で重商主義が優勢となる。地球規模の分断だ。グローバリスト独裁から世界を救うもう一つのステップだ。」

これが良いことなのか、悪いことなのかは、立ち位置によって、大きく評価が変わる。だが、明日にでも、あるいは中間選挙さえ行われれば、世界は2025年以前に戻る、ということまでは、少なくとも自信を持ってまでは、言えないように見える。

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