また、表層では広い水平面があるため、巨大な嵐が起こりうる条件は整っていたものの、気圧差や海水温のメリハリが弱かったため、現代のような激しい台風は少なかったという見解もあります(Kiehl & Shields, 2005)。
つまり、波も風もあったかもしれませんが、この海を航海した場合、何千キロ進んでも陸地はほぼなく魚もほとんどいない、海流もほとんどない、そんな静かな海を延々進むことになるのかもしれません。

広い海は、必ずしも豊かな海ではありません。「海の砂漠」は、今も過去も、命の限界を教えてくれる存在です。
しかし、このような状況にあったからこそ、超大陸の時代は生物の生息域が集中しており、種間競争が激化して、進化の速度が加速されたとも考えられます。
例えば、恐竜の初期の多様化や大型化は、このようなパンゲア時代の環境が関連している可能性があります。
またパンゲアのような巨大な大陸は、その下のマントルを加熱させ、後にマントルの上昇プルームを生み出します。これが火山活動の活発化を起こし、大量絶滅に繋がる気候変動の原因になったとも考えられます。
さらに小惑星の衝突においても、陸地が世界に散らばらず集まっていたことは、衝突の影響を生物が受けやすい状況にしていたとも考えられます。
パンサラッサのような広大な外洋は、単なる空白ではなく、この時代の進化の速度、さらには絶滅イベントとも繋がっていたのかもしれません。
こうしたことを考えると、地球のさまざまな側面が一繋がりとなっているのを感じますね。
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元論文
An Atlas of Phanerozoic Paleogeographic Maps: The Seas Come In and the Seas Go Out
https://doi.org/10.1146/annurev-earth-081320-064052