JFL3年目の2022年に「松江シティFC(2011-2021)」から「FC神楽しまね」と改称したが、その夏から選手・スタッフへの給与遅配が、松江市に本社を置く地元紙の山陰中央新報と、同じく山陰エリアをネットする日本海テレビに報じられた。
その理由として最も大きかったのが、コロナ禍による試合中止や無観客試合だった。2021年には負債総額が約1億円にまで膨れ上がり、当時の実信憲明監督や主将だった垣根拓也ら20人以上の主力選手が退団。
元コーチが運営会社を相手取り、未払い分給与の支払いを求める訴訟を起こしたが、被告であるクラブ側は出廷することも書面で反論することもなく結審し、未払い分の支払いを命じる判決を出された。加えて、JFLの参加費の支払いも不可能であることも明かされた。
問題視したJFLは、FC神楽しまねの退会を決定。そもそもその時点でトップチームの選手数が11人を切っていたことで、下部組織を別会社に移管した上で、2023年3月、松江地裁に破産手続きを申し立て、クラブの解散が決まった。
同年8月、松江労働基準監督署はスタッフ4人に対する最低賃金法違反(賃金不払い)の疑いで、運営会社と同社社長を書類送検(不起訴処分)するという後味の悪さだけが残された。

アルテ高崎(2011年解散)
ホームタウン:群馬県高崎市
1996年に結成された「マッキーFC」を母体に、「群馬FCフォルトナ」「群馬FCホリコシ」「FCホリコシ」「アルテ高崎」と改称を繰り返しながらも、群馬県リーグ、関東社会人リーグと階段を上り、同県のザスパ草津(現J3ザスパ群馬)と時を同じくして2004年にJFLへ昇格したクラブ。
運営会社が日本サッカー界初で唯一の学校法人(堀越学園)であることでも注目された。同年の天皇杯では4回戦で柏レイソルを1-0で破るジャイアントキリングを達成した。