勝率を少しでも上げたいなら赤の服を身につけたほうが良いかもしれません。

この赤色の装飾具を身につけることで勝率が高くなる効果が初めて確認されたのは、英ダラム大学のラッセル・ヒル(Russell Hill)氏らの研究です。

彼らは2004年のオリンピックの格闘技(ボクシング、テコンドー、レスリング)の試合結果を分析し、赤の競技服の選手ほど勝利しやすい傾向があることを見つけました。

また試合が接戦であるほど、赤の競技服の選手が勝ちやすいことも確認されました。

しかし近年の研究によると2005年以降には競技服が赤色の選手の勝率はわずかに高かったものの、統計的な差異がなくなったという結果が報告されたのです。

なぜある時点まで確認されていた競技服の色が勝率に与える影響が見られなくなってしまったのでしょうか。

今回の記事では赤色の競技服がなぜ勝率を高めるのか、そしてなぜその効果が消失したのかを解説します。

目次

  • 赤色の競技服の選手は勝ちやすい
  • 「赤の優位性効果」に再現性はあるのか

赤色の競技服の選手は勝ちやすい

スポーツのユニフォームや競技用具の色が選手のパフォーマンスや勝敗に及ぼす影響については、心理学や行動科学の分野で長年にわたり研究されてきました。

特に注目されてきたのが「赤色の優位性効果」です。

赤はこれまで本能的に「力強さ」や「攻撃性」を連想させる色であり、対戦相手に威圧感を与える可能性があると考えられてきました。

赤の影響は歴史上でも見られ、武田信玄の赤備えや曹操の赤い甲冑など、戦場で用いられてきたことは読者の皆さんが知るところだと思います。

実際にスポーツにおいて「赤色の優位性」が存在するのかを最初に検討したのは、英ダラム大学のラッセル・ヒル(Russell Hill)氏らの研究です。

彼らはオリンピックの4つの格闘技競技(ボクシング、テコンドー、グレコローマン・レスリング、フリースタイル・レスリング)の試合結果を分析しています。