スピログラフは、大きな歯車状のリングの内側を小さな歯車状の円が転がるので、その内部の穴(定点)に鉛筆を差し込むことで描かれる軌跡は、「内トロコイド」になります。

一般的なスピログラフは、定円の内側を動円が転がるため、定点が描く曲線は内トロコイドになる。
一般的なスピログラフは、定円の内側を動円が転がるため、定点が描く曲線は内トロコイドになる。 / Credit:Canva

内トロコイドは次の数式で表現できるため、私たちはスピログラフが描く図形に、一定の法則や緻密さを感じることができます。

別に数式を理解する必要はありませんが、法則性のあるものを私たちは美しいと感じがちです。

内トロコイドの数式
内トロコイドの数式 / Credit:Wikipedia_トロコイド

複雑で緻密な図形を、単純な玩具で正確に描けることこそが、スピログラフの魅力だと言えるでしょう。

また、1つの要素を変化させるだけでも、完成する図形は大きく異なっていきます。

例えば、同サイズの歯車でも、鉛筆を入れる穴の位置を変化させるだけで、下図のような違いが生まれます。

鉛筆を差し込む穴の位置だけを変えた場合
鉛筆を差し込む穴の位置だけを変えた場合 / Credit:Katie Steckles_The Mathematics of Spirograph(2021)

また内側で転がる歯車のサイズを変化させても、下のように大きな違いが生じます。

歯車のサイズと描かれる模様
歯車のサイズと描かれる模様 / Credit:Katie Steckles_The Mathematics of Spirograph(2021)

そのため、それぞれのパラメータを少しずつ変化させるだけでも、簡単に多種多様な模様を描くことができます。

さらに2つ以上の模様を重ねて描くことで、オリジナルのオシャレな模様をつくることができるでしょう。

模様を重ねることでより華やかに
模様を重ねることでより華やかに / Credit:KatiamNails(YouTube)_Spirograph designs Compilation(2016)

上級者たちの中には、専用のマシンを用いてスピログラフのアートを描く人もいるようです。