ユニークなのは、このログと同時に「ゲームをするときの満足感や日常の幸福度」を問うアンケートも行った点です。
普通、ゲーム研究では自己申告のみ(「だいたい週に○時間くらいプレイしています」といった曖昧な回答)で進められることが多いのですが、本研究ではプレイした正確な時間がデータで残っているため、「実際の遊び方」と「本人の感じているメンタル面や行動特性」とを高い精度で関連づけられます。
いわば、「何をどのくらい遊んだか」と「その後や日常生活での心の動き」を一体化して見られるわけです。
こうして集まったのが、660名分・合計およそ12,000時間もの“レトロゲームプレイ”の足跡でした。
研究チームが分析したところ、まずわかったのは「レトロゲームの比重が大きいほどプレイヤーの年齢も高めになる」という傾向。
すると30代後半〜40歳にかけて、古いゲームに費やす時間がぐっと増える傾向が見られたそうです。
さらに面白いのが、「プレイヤーが10歳前後だったころ人気だったハード」に特に戻る率が高いという点でした。
たとえば10歳のころにスーパーファミコンをしていた人々はスーパーファミコンのタイトルをよく遊んでおり、NINTENDO64世代なら64の名作に没頭している――というように、それぞれの“黄金体験”の記憶へ自然と引き寄せられているかのようでした。
一方で、生まれる前にすでに終売していたゲーム機を楽しむ人たちも一定数いて、これらは「歴史的ノスタルジー」(自分の経験にはない時代への憧れ)によるものかもしれないと示唆しています。
なお、プレイスタイルにも興味深い差が見られました。
例としては、昔から携帯ゲーム機だったゲームボーイ系のタイトルは、Switchでも携帯モードで遊ばれる率が高いという点です。
つまり、当時の持ち歩いて遊んだ感覚を再現するかのように“手元プレイ”を好む人が多いというわけです。