彼らが惹かれるのは、いわゆる“個人的な思い出”だけではなく、「当時に生まれていなくても感じる昔の文化や歴史への憧れ」としての“歴史的ノスタルジー”ではないかとも言われています。
しかし、こうした話題はこれまでもファンコミュニティで熱く語られてきたものの、実際のプレイデータを大量に集めて年齢やライフスタイルなどと関連づけて解析した事例はあまりありませんでした。
そこで今回、研究者たちは任天堂の最新ハードであるNintendo Switchで遊ばれた過去の名作ライブラリ――俗にいう“レトロコンソール”群――のプレイログを入手し、どんな世代のプレイヤーが、いつ頃のゲーム機を、どれくらいの頻度で楽しんでいるのかを詳細に調べることにしました。
プレイログには、どのゲームを何時間遊んだのか、携帯モードで遊んだのかテレビにつないで遊んだのかなど、けっこう細かいデータが含まれています。
さらにアンケート調査を組み合わせることで、レトロゲームへの“熱中度”と日常の幸福感や懐かしさとの関係を分析できるというわけです。
いったい、どの年代の人がどんなレトロゲーム機に夢中になり、それがどのように心に影響しているのでしょうか。
10歳で遊んだゲームこそが“究極のレトロ”だった

今回の研究では、まず任天堂の「Nintendo Switch」で遊ばれた“レトロコンソール”向けゲームの詳細なプレイログを収集し、それを参加者のアンケートデータと結びつけて分析しました。
レトロコンソールとは、たとえばファミコンやスーパーファミコン、NINTENDO64といった過去の名機を仮想的に再現するSwitchのサービスのことで、参加者がどれくらいの時間・頻度で遊んでいるかをかなり正確に記録できます。
このログデータには「どのゲームを何時何分から何時何分まで遊んだか」「携帯モードか、テレビモードか」などが含まれており、研究チームはそれをもとに「いつ、どれだけ、どんなプレイ環境で」レトロゲームに熱中しているのかを詳しく調べました。