•補助金とインセンティブ:一部の州では、低所得世帯向けに高効率ストーブへの交換費用を補助する税控除(最大2,000ドル/年)やリベートを提供しています。これは汚染削減とエネルギー効率向上を目的としています。
●その他の事例
•ノルウェー:木材資源が豊富な国ですが、薪ストーブの健康影響への認識が高まり、情報キャンペーンが展開されています。一部地域では使用制限が検討されています。
•カナダ:ケベック州では、冬場の空気質悪化の主因として薪ストーブが挙げられ、認定機器の使用や適切なメンテナンスが推奨されています。自治体レベルでの規制も進んでいます。
●日欧米の比較と考察
欧米では、科学的データに基づき、薪ストーブが大気汚染と健康被害の原因であることが明確に認識され、規制や代替技術(ヒートポンプや太陽光など)の推進が進められています。特に都市部では、密集した住宅環境での影響が大きいため、厳しいルールが設けられています。これに対し、日本では同様の問題が顕在化しているにもかかわらず、規制や対策が遅れており、むしろ推進政策が続いている点で、大きなギャップがあります。
欧米の規制は、健康被害の軽減と気候変動対策の両立を目指しており、単なる禁止だけでなく、技術革新や代替案の導入を組み合わせた包括的なアプローチが特徴です。日本がこのトレンドに追随せず、業界との結託や「炭素中立」の誤った解釈に固執するならば、住民の健康や環境への負荷は増すばかりでしょう。
●結論 日本の現状は、政策的視野の狭さと優先順位の誤りがあるように見えます。気候変動対策として薪ストーブを推進するのであれば、少なくとも住宅地での使用を制限し、排出基準を厳格化するべきです。欧米の事例を見れば、規制と啓発がセットで進められていることがわかります。日本も、健康権と環境保護を優先し、科学的根拠に基づいた見直しが急務だと思います。薪ストーブのロマンや経済的利点に目を奪われるのではなく、近隣住民への実害を最小限に抑えるバランスが求められているのではないでしょうか。